バガボンドとサリンジャー

バガボンドの新刊がエラい良かったー35巻。

 

武蔵が畑を耕しながら、自然の中でいろいろな事を理解するのだが、

感動...ホロリと来てしまった。

 

伊織(前巻から突然育てる事になった、親がいない子供)の不細工っぷりがまた良い。

あと途中から出て来る偏屈なじいさんも良い。(褒めっぱなし)

 

そりゃこれ井上雄彦なんぞすごい賞貰うはずだわあ。

(なんかアジアのすごい賞を取ったそうだ。良くは知らない。

でもノーベル賞取っても納得する。)

 

ただ読んでると、だんだん宮本武蔵と剣術の関係が、

井上雄彦と漫画の関係にしか見えなくなってくる。

 

伊織が、結構勉強熱心だから武蔵に剣についていろいろ聞く。

「剣を振っている時、何を考えているの」とか。

それに対する武蔵の答えが、

漫画に対する井上雄彦の考えなんだろうなあと思う。

 

「考えてたら切られるわい」。

 

もっと無になること。

仏教っぽい世界なんだよね。

 

私は幼稚園キリスト教だったし、

あんまり仏教について知らないんだけど、

わざわざ経典から教えを請わなくても、

自然の中で一人でもああいう風に理解するのが

本当なんだろうなあ〜と思った。

 

昨日、何だか改めてサリンジャーの短編(teddy)について考えたのだが、

やはりあれも仏教の教えがかなり色濃く影響しているそうで。

(あまりにあの話に感銘を受けているので逆に誰の意見も聞きたくない)

 

別にそれらを理解してるのがすごい事だとは思わない。

分かったふりなんていくらでも出来るし、

本当に理解している人間は

「分かった」なんて言わないよ。と思う。

でも人がそうそう到達出来ない高みに行ける、

そこからの風景が見える人間に対して、

皆、普通に、「すげえなあ」と憧れてしまうのだろう。

だから本を読む。

 

 

とまあそれはそれとして、

35巻の武蔵は今までで一番良いと思った。

(もったいないことに今まではあんまり良さに気付いてなかったなあ...)