ヒカルと砂漠

藤圭子さんの投身自殺のニュースは、
あんまり芸能関係に疎い私にとっても、
ひどく衝撃的だった。

当日はニュースのテロップを流れる文字を疑った。

そしてそのすぐ後、
私と同い年の宇多田ヒカルの事がものすごく心配になった。
今も心配してる。面識ないけど。

普段芸能人の訃報は、
正直他人事の感が否めない。
あんまり知らない人達だから。

藤圭子さんのことも、
リアルタイムで音楽を聞いていたわけでは無いから、
私にとってはあくまで「宇多田ヒカルのお母さん」でしかないのだが、

なんだか「友達の親が自殺した」みたいなショックがしばらく続いた。

うちの母も、あまり一般的な母でないから、
親の感情の起伏に振り回される気持ちが良く分かり、
ちょっとでもそういう話を聞くと、
私はやたらその人物に「分かるぜ〜」と肩入れしてしまう。

振り回されながらも、
確実に大好きで、多大なる影響と、いびつで巨大な愛情と、
なんか、いっぱいいっぱいやったやろうなあと思う。

どの曲聞いても目が潤むこの頃だ。
追悼!

珍しく芸能人に共感するのには理由があって、
それはもう何年も何年も前の音楽番組での
彼女のコメント。
おそらくデビューしたてでまだ十代だったのだろう。

砂漠で、砂の粒子が風で飛ばされて行く光景が好きらしい。

人間が誰もいないような場所。

あんまり周囲に理解されてないフシだったが、
私もそういう「空虚な」光景が好きなので、
それ以来「同胞よ〜」位に勝手に思ってる。
(彼女の曲は聞くけど、他のプライベートな事は何も知らない)

曲作りでも絵を描くでも、
なんかどうしようもなく何かを作らずにいられない人間というのは、
心にそういう空虚な空間があって、
それはどうにも感情をコントロール出来ない親との葛藤から産まれるのだろうかとか、考える。

そして、その後のヒカルの「完璧に空気読んだ追悼コメント」も
「自分がどういう行動と発言をすべきか」が完璧に分かってて、
それは「空気読まない母親」を見て育つからそうなるのだろうけど、

遺伝子的には、「そういう」性質を持っているだろうから、

暴れたくてもぐっと抑えるだろうから
今、彼女は本当に辛いだろう。


彼女が何を用いて自分の正常をキープするのか、
会った事ないから知らないけど、
何か、、、
彼女に何も言えないので胸の内で心配するしかできない。

柳美里著

「まちあわせ」の表紙にイラストが使われました。

(発売:2016.11.8)

 

よろしくお願い致します!