手帳


こないだ、デザイナーって頭がおかしい連中だな、と思った話。

いや、連中と言ったら他人に押し付けているようで失礼だな、
純粋に私の頭がおかしいだけです。

年末、このシーズンになると文房具屋やら雑貨屋やらで、
ずらりと手帳が並ぶ光景は皆さん目にしていると思う。

迷うんだよね、あれ。逆にありすぎて。

海外はああならないんじゃないかな。
日本人はこだわるよねえ、細かいことに。

まあ、形はどうあれ、一年間持ち歩くし、
そこそこ気に入ったものにしたいのは私もわかります。

今年、ピンと来た手帳が、二子玉川の雑貨屋にあった水色の手帳。
皮の白いベルトがあって、中身が使いやすそうだった。
そしてサイズも重要だけど、文庫本サイズ。

これいいな、と思ったけど、その時ぱっと買わずに、
一応渋谷LOFTの気が狂ったみたいに世の中全ての手帳があるみたいなコーナーを
見ておこう、と思って見に行く。

まあそこで劇的に気に入ったのあったら困るし。
あそこにない手帳はないだろうと。

で、一応くまなく見て、
「やっぱ二子玉川の水色のだな」と思った。(ちなみにLOFTにはそれはなかった。)

買いに戻ったら、もうその水色の手帳は売り切れていた。
簡単に諦めない私は、店員さんに業者に電話してもらい、在庫を調べてもらうのだが、もうオレンジか白しかないらしい。

ショック…これが欠点なんだよなあ、東京は。
気に入った時に買わないと、すぐ誰かに取られてしまう。

で、結局、バイト初日だったのかなあと思わせるような
店員さんの初々しい対応に良心を揺るがされ、
オレンジ色のを買って帰る。

まあ使ってたらだんだんこの色気に入るかもしれないし、と思って。


しかし、夜、風呂上がりにその手帳を見たら、
どうしてもそのオレンジ色に納得がいかない。
使う気になれない。

ふと見ると、机の上に数ヶ月前代官山tsutayaで気に入って買った、紙の文庫本カバーが目に入った。

これ、ぴったりじゃね?

と被せてみる。

うむ。ぴったり。
白いベルトの部分は、カッターで穴を開けて出せば良い。

髪も乾いてないまま、
カッターを出してその紙の文庫本カバー(ピンクと水色と黄色のチェック柄)に
切り込み、ちょうど良いサイズの穴を開けていく。

よしよし、よりぴったり。


深夜にオレンジ色が納得行かなくて
別の用途のカバーを無理矢理に着せてしまうなんて、
そういうことはしょっちゅうするわけではないのだけど、
デザイナーなんて所詮オレンジ色一つも許して上げられない狭量な気の狂った連中なんだ、と思って満足感とかやり遂げた感より、
ああ、気が狂ってるな、という気持ちでいっぱい。