柳美里さん「まちあわせ」

柳美里さんの「まちあわせ」という文庫本の表紙を描かせて頂きました。
新刊ではなく2012年に発行されたハードカバーの文庫化なので、
新刊コーナーには置かれていませんが、
河出書房コーナーにあります。
同時期に発売された文庫本の中で、
全ての本屋さんが、全部表紙を見えるように置いて下さっているわけではないので
あえてこの本を背表紙でなく表紙をバーンと見えるように
置いてくださってる本屋さんに出くわすと、ちょっと嬉しくなります。
主人公は、自殺志願者をネットで募る女子高生。
読んでいたら、女子高生の頃の風景をちょっと思い出しました。
私はこの本の主人公のような「いわゆる今時の女子高生!」
という人間ではありませんでしたが、(とにかく型にはまるのが嫌だったので)
この世代特有の「なんかもう全部どうにでもなってしまえ」
という気持ちは良くわかります。
この話の続きが気になるところ。
主人公のもねちゃんには、
家族も友人も、全部信頼できない、もう駄目だ、と思ったら
自分が好きだと思う世界に没頭して欲しいな。
自殺仲間を募集するくらいなら。
表紙案は、一度ボツをくらって必死で描き直した9枚の中から
ある意味偶然紛れ込んでしまった「目がないクマ」が採用されてしまい
あえてというよりは「あっそれになってしまったのね!」という気持ちも
無くはないのですが、
まあ前回のツンドラモンスーンよりは自分色が出せているかな、と思います。